ABCテレビ「newsおかえり」放送後記|番組では流れなかった「買う側の責任」の話

東大阪市で金属リサイクルをしている古谷商店です☆(^▽^)
先日お知らせしていたABCテレビ「newsおかえり」、7月27日(月)に無事放送されました。

ご覧いただいた皆さま、放送後にお声がけくださった皆さま、本当にありがとうございました!

放送された内容は、YouTubeの公式アーカイブでも視聴いただけます。

(該当箇所:3:17〜5:52)

放送された内容をざっくり振り返ると

番組の冒頭では実際に水道メーターの盗難被害にあった現場取材からスタートしました。
現場は大阪府和泉市の集合住宅で31個の水道メーターがごっそりと盗まれるという規模の大きな事件。
市の担当者は市内に7万個以上ある水道メーターの盗難対策は容易ではないという切実な事情をお話されていました。
検針のために施錠も難しく、オンラインで検針する仕組みの導入も高額な投資が必要になるため、被害が続けば水道料金にコストを転嫁せざるを得ない事態になる可能性もあるとのことでした。

場面は古谷商店に移り、最初は銅価格の上昇の社会的背景や盗んだ水道メーターを現金化する温床として「不適正ヤード」の存在を指摘するという内容でした。

番組内では放送されませんでしたが、なぜ水道メーターが狙われるのかも話しましたので少し解説したいと思います。

水道メーターの土台となる金属の容器は青銅、もしくは黄銅という金属で出来ています。
その名の通り「銅」の仲間で、60~80%が銅で構成される銅合金になります。
ですので、その価値・価格は番組内でも触れた銅価格によって変動します。

銅の高騰は銅合金で出来ている水道メーターの価値にダイレクトに影響します。
窃盗犯からすれば10年前と同じリスクでリターンが2倍以上になっているというのが大きな背景になっていると思っています。

盗んだ水道メーターを現金に換金できなければ盗む意味がないのですが、一般的な日用品のリサイクルショップや、宝石や貴金属の買取ショップに行っても水道メーターを買い取ってくれるところはありません。
そのリアルな現場となっているのが弊社のような「金属リサイクル業者」なのです。

膨大な量の金属の排出とリサイクルを繰り返している日本。
私たち金属リサイクル業者は静脈産業とも呼ばれる重要なインフラとして社会を支えて来ましたが、その金属リサイクルの流通網が、盗品の換金先として悪用される悲しい現実が表面化していると言えます。

それは、業界全体のイメージダウンにもつながりますし、プライドを持ってコンプライアンスを遵守しているリサイクラーにとっては風評被害の原因にもなりかねない大きな問題でもあるのです。

ここからが、今日の本題です

実は今回の取材、時間にして約2時間。

そのうちのかなりの部分を割いてお話ししたのが、

「では、金属を“買う側”である弊社のような業者は、この法律にどう対応しているのか?」

というテーマでした。

実際の運用の様子も撮影していただきました。
しかし、放送ではこの部分は残念ながら、使われませんでした。

もちろん、10分弱という枠の中で何を残すかは制作側の判断ですが、弊社が一番伝えたかったのは、まさにここでした。


なぜなら、「なぜ法律ができても盗難が減らないのか」という番組のテーマに対する答えの半分は、買う側=我々業者側の対策にあると思っているからです。
せっかくの機会なので、放送に乗らなかった部分を、ここで補足させてください。

そもそも「金属盗対策法」とは

正式名称は 「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(令和7年法律第75号)。
2025年6月20日に公布され、2026年6月1日に全面施行されました。

ポイントは、盗む側だけでなく「売られた先=買う側」を規制したことです。
盗まれた金属は、どこかで現金に換えられなければ意味がありません。
つまり、買取業者が“出口”を塞げば、盗む動機そのものが減る。
これがこの法律の設計思想です。

事業者に課された主な義務は次のとおりです。

① 特定金属くず買受業の「届出」

「特定金属くず」として現在指定されているのは銅(重量または価額の50%以上が銅であるもの)。

これを買い受ける事業者は、営業所を管轄する警察署を経由して届出が必要です。

すでに営業している事業者には3か月の経過措置があり、2026年8月31日までに届出をすれば営業を継続できます。

② 買受けのたびに「本人確認」
対面取引では、原則として顔写真付きの本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、在留カード等)の提示が必要になりました。

法人名義で担当者の方が持ち込まれる場合、法人の確認に加えて担当者個人の本人確認も必要になるケースがあります。

「顔なじみだからノーチェック」は、もう通用しません。

③ 記録の3年間保存

本人確認記録・取引記録は、いずれも買受けの日から3年間の保存が義務づけられています。

この3つの義務によって業界は大きな変革期に突入したと考えています。

そもそも届け出をしていない業者は規制の対象となる「銅」や「銅の価値が大部分を占めるもの」を買取することができなくなり、このルールを破ると重い罰則が課せられることが明記されました。

そして、本人確認義務も明確化されたことによって、「買う側」の業者は警察の捜査に協力する責任を負ったとも言えるかもしれません。

今回の法律によって、「適正業者」と「不適正業者」との違いがはっきりと線引されたことになります。

古谷商店は、どう対応しているのか

過去に投稿したブログでもお話しましたが、古谷商店は受付開始のその日に届け出を済ませてきました。
まずは「銅を買取できる会社」としてスタートラインに立つのは当然の選択でした。

そして、「本人確認義務の実行」と「記録の保管」という2つの義務は、現場での実務的な負担を伴う大きな問題であると同時にお客様にとってもストレスを伴うことも悩みの種になると考えていました。

現場とお客様、どちらのストレスも最小限にできる仕組みを作るべく、本人確認のためのアプリを自社で開発しました。
身分証明書の読み取りからデータの保管までを、手間と時間をかけずに行える仕組みです。

詳細は、過去のブログでもご紹介していますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです☆

業界専門紙「日刊市況通信」に弊社の取り組みが掲載されました!

東大阪市の金属リサイクル企業、古谷商店です(^▽^) 2026年6月24日、業界専門紙「日刊市況通信」にて、弊社の取り組みが「古谷商店、盗難品持ち込み防止策の強化取り組む…

今回の「金属盗対策法」は本気で遵守すれば盗難被害を激減させることができるポテンシャルが十分にあると考えています。
だからこそ、真剣に向き合って持続可能な運用の仕組みを作り上げてきました。
この部分をTVでもっと伝えてほしかったというのが本音ですね。

6月1日に法律が施行されてから、たくさんのお客様に法律についてのご説明や本人確認へのご理解とご協力をお願いしてきました。
幸いなことに、みなさんには本当に快く本人確認作業にご協力をいただいております(^▽^)
その一方で、本人確認を拒否される方が出てくるという可能性も十分にあるのは事実です。

そして、「買わない」という判断

正直に言えば、業者にとって「買取しない」判断はコストです。
目の前の商売をみすみす諦めることになりますし、お断りしたところで、別の業者へ持って行くだけかもしれません。

それでも弊社は、この“お断りする”という選択こそが、我々のような業者が持てる最大の防犯機能だと考えています。

それでも盗難が減らない、その理由

番組の放送は7月27日で、取り上げられた事件は「金属盗対策法」施行後でした。

盗まれた水道メーターをリサイクル業者に売却したとすれば、本人確認記録が保管されているはずなのですぐに誰が売りに来たかわかるのでは?
そう思った方も多いのではないでしょうか。

しかし、法律の施行後も盗難事件は増える一方で、減少の気配がないのが現実です。

「窃盗によって違法に入手した金属類が違法に買い取られて換金されている。」
このサイクルを止められない理由は、「法律の条文」に問題があるのではなく「法律の運用と実効性」に課題があるからです。

届出をためらう声も耳にします。
本人確認の手間や、お客様が他社に流れることへの不安があるのだと思います。
その気持ちは、正直わからなくもありません。

全ての金属リサイクル業者が「せーの!」で法律を徹底的に遵守しはじめなければ、盗む側は“買ってくれる業者”を探すだけで、抜け道が一つでもあれば、盗品の流通は止まりません。
業界全体として足並みを揃えることは非常に難しいことですが、それをやらなければ法律は思うような効果を発揮してくれないということになります。

そして、もう一つ大切になってくるのが「警察による徹底した取り締まり」と考えています。

法律が施行されて罰則が規定されても、取り締まりが伴わなければ軽視されてしまいます。
この状態になってしまうと、真面目に取り組んだ業者の負担が増えただけで不適正業者に流通された品物が戻ってくることもなくただの負担だけの意味のない法律になってしまいます。当然、窃盗事件も減ることはないでしょう。

VTRの中では「我々のような業者のしっかりとした運用と、不適正業者の厳格な取り締まりの両面が必ず必要になると思います。」とコメントさせていただきましたが、この部分を放送していただけたことは非常に嬉しかったですし、意義のあるVTRだったと思っています。

法律は器です。それを本気で運用する業者が増えなければ、金属盗はなくなりません。

弊社は今回の法律を「規制が増えて面倒だ」ではなく、業界のイメージを変える絶好の機会だと捉えています。
きちんとやっている業者が、きちんと評価される、そういう業界にしていきたいと思っています。

金属という大切な資源が持続的に循環する社会を実現するにはそのような業界の姿が必要です。

金属を「売る側」の皆さまへ

最後に、金属を「売る」立場である、一般の方・事業者の皆様へのお願いです。

買取時に顔写真付きの本人確認書類をお願いするのは、法律上の義務であり、皆さまを守るためのものでもあります。
「面倒だな」と思われるかもしれませんが、ご協力をお願いいたします。


本人確認を求めてこない業者は、この法律に対応していないということです。
ご自身が売った金属がどう扱われるか、一つの判断材料にしていただければと思います。

この記事を読んでくださっている今も、エアコンの室外機・真鍮の蛇口・水道メーターなどが狙われています。
「うちには関係ない」話ではありません。

弊社では、金属盗対策法に沿った適正な買取体制を整えております。

ご不明な点、「これは売れるの?」「必要な書類は?」といったご相談も、お気軽にお問い合わせください☆

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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